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「和」の心を受け継いで 世界ジャンボリー開幕 岩国市職員小坂さん 44年前も運営に参加

 山口市で28日開幕した世界スカウトジャンボリーは、1971年の静岡県朝霧高原以来、2度目の国内開催となる。岩国市職員の小坂保博さん(64)=同市岩国=は44年前と今回の両方でスタッフとして運営に携わる。「若い世代の交流と相互理解が平和な世界の実現につながる」との思いを胸に、少年少女の交流を裏方で支える。

 主会場となる山口市阿知須のきらら浜で、小坂さんの持ち場はスタッフ向けの食堂。約7千人が利用する。宗教上の理由などから特定の食材を口にできない外国人の相談に乗り、パンや果物など約20種類の食べ物を提供する。「このフレークにはサケが使われている」などと原材料の問い合わせに応じた。

 23日に会場入りし、食堂運営にかかわる国内外のスタッフ約60人の取りまとめ役を担う。岩国市出身で、古里での開催を「日本だけでなく、山口の魅力も伝えるチャンスだ」と歓迎。接客時には、錦帯橋(岩国市)など山口県内の観光地を訪れるよう声を掛ける。

 ボーイスカウト出身で、20歳で参加した静岡大会では会場の案内係を担った。期間中、台風の影響で大雨に見舞われた。参加者のほとんどが避難する中、アフリカのスカウトが太鼓を鳴らしながら踊っていたのが印象に残る。「まさに恵みの雨が降ったという感じ。国によって物事のとらえ方が違うと体感した」

 前回はベトナム戦争のまっただ中に開かれ、今回は過激派組織「イスラム国」などによるテロがやまない中で迎えた。「今回のテーマは『和』。共同生活で価値観や考え方の違いを理解し、認め合うことが争いの解消につながる」と信じて、大会の成功へ汗を流す。(折口慎一郎)

(2015年7月29日朝刊掲載)

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