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53年ぶり平和の球音 8・6の広島 プロ公式戦

 広島市の原爆の日では53年ぶりとなるプロ野球公式戦、広島東洋カープ―巨人戦が6日、南区のマツダスタジアムで開かれた。約3万人の観衆がセレモニーなどを通じ、犠牲者の慰霊と平和の尊さに思いをはせた。

 試合前のセレモニーでは、両チームと観客全員で黙とうした。昨年のジュネーブ国際音楽コンクールピアノ部門を制した萩原麻未さん(24)=安佐南区出身=が、爆心地の南約1・8キロの民家で被爆したピアノを演奏。鎮魂の調べを響かせた。

 続いて俳優斉藤とも子さん(50)が、詩人高木いさおさん(57)の詩「8月6日」を朗読。ファンは鳴り物の応援を自粛し、平和を象徴する球音を楽しんだ。

 萩原さんは「球場から平和への思いを感じ、それを乗せて弾いた」と振り返った。観戦した広島県熊野町の三田泰徳さん(78)は「多くの子どもたちと一緒に被爆ピアノの音色を聴き、黙とうをささげ、平和への思いを共有できた」。66年前に実家がある安佐南区で被爆者の救護や火葬を手伝った経験も語り、感無量の表情で白球を追った。

 原爆の日の公式戦は旧広島市民球場(中区)で開催した1958年以来。その後は市が6日を「休場日」としてきたが、昨春にスポーツを通じて平和への願いを深めてもらおうと球場の条例施行規則を改正。今季の公式戦日程に組み込まれた。(加納優、小山顕)

(2011年8月7日朝刊掲載)

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