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8・6 広島で聞く「脱原発」 賛成6割 「早急に」3割

 福島第1原発事故を受け、「脱原発」が焦点となった被爆66年。平和記念式典があった広島市中区の平和記念公園周辺で6日、原発に対する考え方などを50人に聞いた。6割以上の32人が脱原発に「賛成」と回答。一方で実現時期については「早急に全ての原発を止める」としたのは賛成者のうちの3割にとどまった。

 脱原発に「賛成」と答えた理由について、「原発は安全」と繰り返してきた国への不信感を挙げる意見が多かった。島根県津和野町の農業弘奥健一さん(77)は「絶対な安全はない」と憤る。兵庫県西宮市の会社員長沼隆之さん(43)も「人間は原子力をコントロールできない」とした。

 家族3人で同公園を訪れた東区のトラック運転手石井隆志さん(40)は「親として放射能による健康被害が心配だ」と語った。

 脱原発に「反対」は2人。安佐北区の遠北剛さん(76)は「代替エネルギーの確保は難しい」。質問に対し「どちらでもない」を選んだのは16人だった。

 脱原発に賛成の人に実現時期を尋ねると、「代替エネルギーのめどがついてから止める」が20人と6割強、「目標とすべき」も1割弱の3人だった。

 記念式典でのあいさつで「『原発に依存しない社会』を目指す」とした菅直人首相。この姿勢を「評価する」のは半数だった。「評価しない」は12人で、安芸区の主婦本田実保さん(31)は「菅首相のパフォーマンスに見える」などと冷ややか。

 初めて被爆者の体験を盛り込み、政府にエネルギー政策の見直しを求めた松井一実市長の平和宣言には、3分の2の33人が賛同した。佐伯区の原山広寿さん(71)は「市民感覚に近い」と共感した。

 被爆地として取り組むべきことについて、西区の主婦今井優子さん(35)は「福島からの移住希望者の受け入れ態勢をしっかり整えてほしい」。中区のパート事務員松永三枝子さん(47)は「代替エネルギーの議論を広島から起こしてはどうか」と提案した。

(2011年8月7日朝刊掲載)

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