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「原爆の絵」表現意欲 基町高生、本年度の制作開始 広島市中区

 広島市中区の基町高で28日、被爆者の証言に基づいて原爆投下前後の光景を描く本年度の「原爆の絵」の制作が始まった。被爆70年とあって、被爆者12人が計35場面を希望。創造表現コース1、2年生を中心に30人が担当し、来年3月の完成を目指す。

 題材は「火球を見ている少年」「顔が血だらけの若いお母さん」など。5~10回の対話を通じて仕上げ、完成後は証言活動に役立ててもらう。広島平和文化センターが2007年から毎年同校に依頼。例年は在校生が描くが、ことしは希望が多かったため卒業生、教員各3人が加わり、制作期間も3カ月長くとる。

 この日は同校に被爆者8人が訪れ、担当する生徒たちと顔合わせをし、体験を語った。小倉桂子さん(77)=中区=は原爆投下直後に降った「黒い雨」など5場面を描いてもらうといい「記憶の中の映像は写真には残っていない。絵があった方が証言しやすい」。1年の市川月穂さん(15)=江田島市=は「当時の感情も絵にできれば」と意欲をみせた。(高本友子)

(2015年7月29日朝刊掲載)

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