×

連載・特集

原爆ドーム2015 <2> 外国人客 世界を結ぶ追悼の心

 世界中から見学者が訪れる広島市中区の原爆ドーム。この夏も、爆風で破壊された建物を見詰め、平和記念公園で平和の鐘を突き、あの日の惨状に思いをはせる外国人の姿がある。

 ヘレン・ケラー、サルトル、マザー・テレサ、ペレ…。著名な哲学者や宗教者、スポーツ選手たちがヒロシマを訪れた。ドームが1996年に世界文化遺産に登録されると、外国人はさらに増加。原爆資料館の入館者数でみると、2014年度は約23万4千人と96年度の3倍以上に増えた。

 ことし5月、核拡散防止条約(NPT)再検討会議で、世界の政治指導者に広島、長崎への訪問を呼び掛ける文言が最終文書から削られた。オーストラリアから訪れた救急救命士ビンセント・ルピーノさん(51)は言った。「父から第2次世界大戦で戦った話を聞き、追悼する気持ちで広島へ来た。世界中の人が広島を訪れることで平和につながると思う」(高田果歩)

(2015年7月29日朝刊掲載)

年別アーカイブ