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望郷を胸に参列 福島の避難者

 福島県から広島市内に避難している被災者たちは6日、望郷の念を胸に平和記念式典に参列した。「脱原発」を願い、核被害の原点で心を一つにした。

 「今年は盆に墓参りできない」。南相馬市から南区に来た衣山弘人さん(53)と妻良江さん(42)。原爆慰霊碑に手を合わせ、先祖や津波で亡くなった知人に思いをはせた。

 震災後の3月26日、家族5人で広島に逃れた。自宅は原発から16キロの警戒区域内だ。

 午前8時15分の黙とうでは、夫妻の脳裏に津波でめちゃくちゃになった古里と、被爆地の惨禍が重なったという。良江さんは「広島の痛みが自分たちの痛みと同じと気付いた。一緒に核廃絶に取り組みたい」と決意する。

 同じく南相馬市から南区に避難する後藤孝明さん(48)と恵さん(44)夫妻。「避難生活でお世話になった恩返しに」と、式典ボランティアを申し出た。車いす介助を担当した。

 東区で避難生活を送る福島市の佐々木紀子さん(40)は、自宅で次男(5)、両親と一緒にテレビに向かい、平和の鐘に合わせて黙とうした。福島に残る友人たちを案ずる日々が続く。「菅首相の発言は控えめ。積極的に脱原発を進めてほしい」と求めた。(衣川圭、赤江裕紀、滝尾明日香)

(2011年8月7日朝刊掲載)

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