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原発の廃炉作業を公開 日本原電 東海の熱交換器 解体

 原発専業の日本原子力発電は29日、国内の商業用原発として初めて解体している東海原発(茨城県東海村)の廃炉作業を報道陣に公開した。中国電力島根原発1号機(松江市)など廃炉を決めた他の原発にも、解体技術やノウハウを提供する考えだ。

 公開したのは、蒸気を作る熱交換器の解体現場。高さ25メートル、直径6メートルの大きな鉄の円筒を輪切りにして撤去を進めている。熱交換器4個のうち1個は2013年に撤去を終え、現在は2個目を解体している。

 1個目は特別な装置を独自開発し、世界で初めて遠隔操作で解体した。熱交換器の放射線量は低いが、線量の高い原子炉本体の解体を19年度に始めるため、遠隔操作の技術を蓄積した。

 日本原電は、廃炉で出る低レベル放射性廃棄物のうち、線量が最も低いレベルの約1万2300トンを敷地内に埋める方針で、処分予定地も報道陣に公開した。線量レベルの高い廃棄物の処分地は決まっていない。

 東海原発は出力16万6千キロワット。1966年に稼働し、32年間の運転を終えて01年に廃炉作業を始めた。放射性廃棄物の処分方法が決まらず、2度計画を延期。工程期間は当初の17年から25年に延び、現在は25年度に終える予定。費用は885億円を見込む。

 政府が原発の運転期間を原則40年と定め、今春に島根原発1号機を含め全国5基の廃炉が決まった。東海原発の近江正副所長は「廃止措置を合理的に進める方法を他の電力会社へ適切に提案したい」と述べた。(河野揚)

(2015年7月30日朝刊掲載)

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