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映画製作支援に感謝 「この世界-」片渕監督 広島でイベント

 第2次世界大戦末期の広島、呉を舞台にしたアニメ映画「この世界の片隅に」(2016年秋公開予定)を手掛けている片渕須直監督(54)=写真。広島市中区で開いた映画の支援者向けイベントで、映画の冒頭場面をお披露目し、「まずは広島で上映したいと、頑張って完成させた」と感謝した。

 冒頭場面は、昭和8(1933)年、主人公が少女時代に広島市の江波から中島本町へおつかいに行く。原爆で焦土となり、今は平和記念公園になっている街並みの再現を試みた。「元住民の方に、たくさん話していただき、色も付けて映像にすることができた」

 西区出身のこうの史代さん(46)の同名漫画が原作。原作では、被爆後に主人公が相生橋から中島本町を眺める場面がある。「家がなくなった町が目の前にあるが、描かれていない。それを自分たちで知らなければいけない。そういう漫画だ」と片渕監督は語る。

 イベントは、資金提供をインターネット上で募るクラウドファンディング(CF)の特典の一つとして開き、約250人が参加した。CFは3~5月に実施し、3374人から計約3600万円が寄せられた。うち広島県内は260人で、東京都、神奈川県に次いで多かった。「こういう形で前に進めたのも、皆さんのおかげ。繰り返し見てもらえる映画に仕上げたい」と力を込めた。(石井雄一)

(2015年7月30日朝刊掲載)

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