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社説・コラム

キーマンがゆく ひろしま通訳・ガイド協会(広島市中区) 古谷章子会長 

外国人旅行客おもてなし 食も野球も 魅力伝える

 広島県を訪れる外国人に観光スポットを案内したり、国際会議の通訳をしたりする協会のトップを務める。旅行代理店や県、市町を通じた旅行客を中心に、有料で請け負う。8カ国語に対応できる会員を約180人そろえ、県が目指す外国人観光客の増加を後押しする。

 ガイドの要望が多いのは、原爆ドーム(広島市中区)と厳島神社(廿日市市)の二つの世界遺産。平和記念公園を訪ねる米国人の多くは緊張を隠さない。東日本大震災が起きた2011年以降は、広島がどう復興したのかを問われることが増えた。「広島という地域が歩んできた歴史への関心も高まっている」

 ハワイに移住した親類が高校生のころまで年数回、送ってくれた菓子の甘い香りが、海外への関心を高めた。英語教師となり、次男の出産を機に通訳業へ転じた。仲間たちと協会を設立したのは1992年。94年の広島アジア競技大会に向けて、海外からの来訪者をもてなしたいとの気持ちだった。

 昨年は、県内の外国人観光客が初めて100万人を突破。協会が案内した人も1万人を超えた。カキを出す料理店の場所や、県北部で盛んな神楽の由来、大リーグから広島東洋カープに戻ってきた黒田博樹投手…。ガイドの際には、広島の魅力をできるだけ伝えるよう努めている。

 「私たちは外国人に広島を知ってもらう入り口。語学力を磨いた上で、広島を語れるような会員を増やしたい」と考えている。(有岡英俊)

ふるたに・あきこ
 1948年、広島市西区生まれ。71年に広島大を卒業後、倉敷、広島市内の私立高校で7年間英語教師として勤務。その後、大手旅行会社の専属通訳に。92年の「ひろしま通訳・ガイド協会」の設立以来、事務局長を務め、2014年4月から現職。

(2015年8月1日朝刊掲載)

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