×

ニュース

ヒロシマ復興「幻の映画」地元初上映 撮影終了66年

 1948年から49年にかけて広島県、広島市などが製作した映画「平和記念都市ひろしま」が1日、中区の市映像文化ライブラリーで上映された。連合国軍総司令部(GHQ)の占領下で製作され、一時は所在不明となった「幻の映画」。市の被爆70年事業の一環で、撮影終了から66年を経て初めて地元公開が実現した。

 にぎわいを見せ始めた本通り商店街(現中区)や国鉄広島駅(南区)周辺に続き、焼け跡に建てられた市営住宅、孤児収容施設などを紹介。内職に励む母親、木工作業を覚える孤児たちの姿が映し出される。モノクロで約20分。並行して撮影した「産業の再建」(約10分)の上映もあり、約130人が見入った。

 映画は復興資金を募る狙いで製作。関係者から寄贈を受けた川崎市市民ミュージアムが所蔵していると一昨年、判明し、市が複製した。この日は同ミュージアム元学芸員の江口浩さん=東京都板橋区=たちが製作の背景などを解説した。鑑賞した南区の主婦山辺信子さん(65)は「親を奪われた子どもの姿に胸が痛み、『ノー・モア・ヒロシマズ』のナレーションに共感した」と話した。

 2日も同会場で上映会がある。午前10時半、午後2時の2回で映画「千羽鶴」を同時上映。大人510円、65歳以上と高校生210円。中学生以下無料。(田中美千子)

(2015年8月2日朝刊掲載)

年別アーカイブ