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半世紀ぶり 慰霊の集い 本川沿いで広島市中区の5町内会

 広島市中区本川町の本川沿いに立つ原爆犠牲者の慰霊碑前で2日、被爆70年に合わせた慰霊祭があった。焦土と化した爆心地周辺の惨状を後世に伝え、平和の願いを共有しようと、5町内会がほぼ半世紀ぶりに復活させた。かつての慰霊祭を知る遺族たちも参列し、継承の営みに感謝した。

 この日の慰霊祭には小学生からお年寄りまで40人が参列した。本川町3丁目町内会の浜本隆彦会長(69)が「次世代に悲惨な出来事と平和の尊さを伝えたい」とあいさつ。本川小に通う2人が千羽鶴を慰霊碑にささげ、参列者が焼香した。

 関係者によると、現在の碑がある場所では、原爆投下から間もない1945年9月、本川学区連合町内会の住民有志が地区の約千体の遺骨を集め、仮の納骨堂を建立。翌年から毎年、慰霊祭を開いていた。正堂も建てたが遺骨に添えられた金冠などの盗難が相次ぎ、57年に近くの公園に移設(後に解体)。同時に建てた碑前で慰霊祭を続けたものの、町内会役員の交代などで数年後に自然消滅していた。

 義父を原爆で亡くした2丁目町内会の元会長、足利覚正さん(ことし6月に86歳で死去)が昨夏、「70年の節目にこそ供養を」と周辺町内会に提案。70歳代以下の役員が準備を進めてきた。足利さんの妻美保子さん(79)も参列し「主人も喜んでいるはず」と涙を浮かべた。

 5町内会は今後、老朽化した碑の保全も含め、来年以降の慰霊の在り方を考えるという。(樋口浩二)

(2015年8月3日朝刊掲載)

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