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被爆の記憶を次世代へ 広島でシンポ 在外被爆者ら体験証言

 被爆体験の次世代への継承をテーマにしたシンポジウムが2日、広島市西区の広島医師会館であった。国内外で平和運動の先頭に立つ被爆者3人が、中高生たちに継承の必要性を語り掛けた。市と市医師会が被爆70周年事業で企画した。

 約230人が参加した。米ロサンゼルス在住の米国広島・長崎原爆被爆者協会の据石和会長(88)は18歳の時、現在の西区で被爆。「体験を語るのは苦しいけど語らないといけない」と力を込め、「隣の人と手を組んで『I LOVE YOU』と言って。平和になれるからね」と伝えた。

 サンパウロで暮らすブラジル被爆者平和協会の森田隆会長(91)は1984年に協会を設立し、現地の若者にあの日を語る。「証言活動は被爆者の仕事。真心を持って話している」と説明。広島県被団協の坪井直理事長(90)は「命ある限り叫ぶ。みなさんも今日聞いたことをいろいろな人に話してほしい」と呼び掛けた。

 広島なぎさ高1年辰上奈穂子さん(15)は「諦めずに伝えることが平和実現への糸口と感じた。老いと闘いながら継承活動を続ける姿勢に感動しました」と話した。シンポでは、放射線影響研究所(南区)の大久保利晃前理事長が放射線の人体への影響について講演した。(胡子洋)

(2015年8月3日朝刊掲載)

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