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差別する心 乗り越えて 田辺さん ホロコースト学ぶツアー報告 広島市安佐南区

 ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)について学ぶ欧州スタディーツアー(主催・公益財団法人ヒロシマ平和創造基金)に参加した広島修道大3年、田辺美咲さん(20)の報告会が、広島市安佐南区の同大で開かれた=写真。

 田辺さんは3月下旬、中国新聞ジュニアライターの高校生2人や、広島県内の大学生5人と一緒にツアーに参加。100万人以上が犠牲になったアウシュビッツ強制収容所の跡(ポーランド)や、アンネ・フランクの隠れ家(オランダ)などを見学した。報告会では、約20人に写真をモニターで見せながら説明した。

 広大な敷地に収容棟が整然と立ち並ぶアウシュビッツ。最初は戸惑いを感じながら、数々の遺品や遺影などの展示を見るうち、多くの命が奪われた事実に直面した。ガス室に投入された青酸殺虫剤の空き缶を映し出し、「一つの缶でどれだけの人が殺されたのか考えさせられた」と見た時の思いを話した。全欧州からユダヤ人を乗せて向かった家畜用の貨車も紹介した。

 アンネが13歳からの2年間、家族と隠れた家については、「彼女の生涯や、考えたことが伝わってくる空間だった」と振り返った。「他人を受け入れない不寛容さが人権問題や紛争を生む。差別する心をどうやって乗り越え、生きていくかが大切だ」と締めくくった。

 参加した1年森岡佑梨さん(20)は「人を人として扱わないホロコーストの悲惨さを知った。聞いたことを身近な人に伝え、平和な世界につなげたい」と聞き入っていた。(山本祐司)

(2015年8月3日朝刊掲載)

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