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証言続ける姿「驚き」 仏紙記者が被爆者取材 70年の軌跡 世界へ 広島

 フランスの日刊紙リベラシオンの日本駐在、アルノ・ヴォレラン記者(44)が、被爆者取材のため広島市を訪れた。70年前の惨状や、被爆後の人生、後障害の実情などを聴き取った。(谷口裕之)

 中国新聞に掲載中の被爆証言を聞く企画「記憶を受け継ぐ」に登場した被爆者3人に、通訳を介してインタビューした。

 広島県立広島第一中(現国泰寺高)1年生で爆心地から約870メートルの雑魚場町(現中区)の木造校舎内で被爆した児玉光雄さん(82)=南区=からは、倒壊した校舎から奇跡的に脱出した体験を聞いた。8年前の検査で染色体に多数の異常があることが分かったという説明を受けると、身を乗り出し、うなずきながらメモを取っていた。

 取材後、「被爆者はとても恐ろしい経験をしたことがよく分かった。大量の放射線を浴びてダメージを受けながら、体調を維持して証言を続けているのは驚きだ」と話していた。

 2012年秋から京都を拠点に中国を除く東アジア地域をカバーしている。被爆者への直接取材は初めて。「被爆国であり、福島の原発事故を経験しながら、原発を再開しようとする日本政府の姿勢は大きな関心事」と話す。今回のインタビューを基に、被爆70年のヒロシマの姿を紙面で伝えるという。

(2015年8月3日朝刊掲載)

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