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日系2世が原爆手記集英訳 広島出身佐藤さん 収益は寄付

 米国サクラメントに住む日系2世で、広島県原村(現廿日市市)出身の佐藤和枝さん(87)=写真=が、被爆30年後の1975年に広島大付属小(広島市南区)が出した保護者たちの原爆手記集「ヒロシマの雨はドームの涙 パートⅢ」を4年がかりで英訳し、出版した。

 きっかけは約5年前。手記集を読み、親戚の渡辺恵子さん(82)=南区=が、原爆投下後、疎開していた佐藤さん宅から広島市内に行き、渡辺さんの母の前田芳枝さん(当時42歳)を捜し出した様子について知った。佐藤さん自身は当時、広島実践高等女学校(現広島修道大付属鈴峯女子中・高)3年生。原爆投下時には五日市町(現佐伯区)の動員先にいた。「原爆の恐ろしさを今の若い人に知らせたい」と、英訳を決めた。

 戦後、米国に戻った佐藤さん。手記集に載っている地名などを渡辺さんらに問い合わせたり、原爆資料館(中区)に保存されている写真を本に載せる作業をしたりして完成させた。

 「Hiroshima Rains Are Tears of the Dome BookⅢ」。B5判、134ページ。インターネットで販売。7・50米ドルなど。佐藤さんは「一人でも多くの人に読んでもらい、収益は、原爆資料館に寄付したい」と話している。(二井理江)

(2015年8月3日朝刊掲載)

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