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核廃絶へ行動強調 原水協・原水禁など 世界大会が開幕

 日本原水協などと原水禁国民会議などの二つの原水爆禁止世界大会は7日、長崎市での各大会を始めた。

 原水協の大会は今年のメーンである「世界大会―長崎」の開会総会を市民会館体育館で開き、7800人が参加。野口邦和・大会運営委員会代表は核兵器禁止条約の早期交渉開始・締結とともに「原発からの撤退と自然エネルギーへの転換を要求する運動との連帯の発展」を呼び掛けた。

 日本被団協の谷口稜曄(すみてる)代表委員は「核兵器廃絶と原爆被害への国の償いを求めて行動を」と強調。国連代表も軍縮の重要性を訴えた。原水協が2月に始めた核兵器の全面禁止を求める署名が約54万8千人に達したことも報告された。

 連合、核禁会議と原水禁国民会議は「核兵器廃絶2011平和ナガサキ大会」を長崎県立総合体育館で開催。4500人が集まり、核兵器廃絶への行動や非核三原則の堅持を国に求める方針で一致した。

 「脱原発」を掲げる原水禁は世界大会長崎大会の開会と位置付ける。だが原発の是非については団体間で見解が異なるため、アピールでは広島市での3団体の大会と同様、福島第1原発事故の早期収束と原因究明に言及するにとどまった。

 連合の古賀伸明会長はあいさつで「国のエネルギー政策をゼロベースで再検討することが求められる」と述べ、核禁会議の大山耕輔副議長は原発事故に一切触れなかった。これに対し、原水禁の川野浩一議長はあいさつで「原発問題は避けて通れない」と指摘した。(金崎由美、岡田浩平)


オバマ政権の核政策 不透明

米ネバダ州の核実験反対団体 ジム・ヘイバー氏

 「核兵器なき世界」を掲げる米オバマ政権は、昨年9月から計3回の臨界前核実験を実施した。核実験施設があるネバダ州の反核団体「ネバダ・デザート・エクスペリエンス」のジム・ヘイバー氏に、日本原水協などが開いている原水爆禁止世界大会で現状を聞いた。

 オバマ政権の核兵器関連活動の不透明性を非常に問題視している。昨年9月は、実施日に事後発表。同12月と2月の実施分は6月まで公表せず、しかも一般の目に触れにくい形でホームページに載せただけだった。

 実施の前には通告していたブッシュ政権以下だ。広島・長崎や、われわれが抗議する中で強行するのを避けたいのだろう。

 米国は核兵器の維持管理計画(SSP)として、核弾頭の寿命延長や近代化だけでなく、膨大な予算を関連施設につぎ込み、核弾頭を積むミサイルや爆撃機などの近代化も進めている。核兵器の数は減らすが、残る核兵器はより良いものにするという方針だ。

 臨界前核実験は、SSPを支えるいろんな実験のごく一部だ。臨界前核実験だけでなく、核大国の優位性を維持する試み全体に目を向けるべきだ。

 米国では軍縮に熱心な人の間でも、臨界前核実験への批判は多くない。包括的核実験禁止条約(CTBT)について「臨界前実験は禁止の対象外」「だから米国の核の優位性は保てる」と米国の批准を求めたいためだ。

 われわれはあくまで、あらゆる核実験に反対だ。被爆地からの抗議の声に力をもらい活動していきたい。(談)  (金崎由美)

(2011年8月8日朝刊掲載)

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