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朝鮮人被爆者 実態和訳 韓国政府が報告書発行

 韓国政府は、太平洋戦争中に朝鮮半島から移住などを余儀なくされて被爆した朝鮮人に関する実態調査報告書の日本語版を初めて発行した。日本国内での調査支援や翻訳を担った市民団体「韓国の原爆被害者を救援する市民の会」が3日、広島市役所で記者会見し、「日本人と同じ空の下で、被害に遭った朝鮮人被爆者の実態を知ってほしい」と訴えた。

 報告書は、韓国政府の調査委員会が2011年にまとめ、「朝鮮人は約7万人が被爆」などと分析した。被爆地での現地調査や日本政府から提供された資料を基に、朝鮮人労働者の被害状況を記している。三菱重工業広島造船所(現中区)へ徴用されて被爆した元労働者の証言も紹介している。

 日本語版は103ページで千部を発行。記者会見で同会は、近く原爆資料館(中区)や市内の図書館に報告書を寄贈すると説明した。会のメンバーで翻訳者の河井章子さん(58)=千葉県流山市=は「研究や市民運動に役立ててほしい」と話した。(和多正憲)

(2015年8月4日朝刊掲載)

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