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亡き伯父へ 非戦の誓い 戦争末期 米機墜落現場の柳井訪問 親族、目撃者や児童と交流

 太平洋戦争末期、搭乗した米軍機が撃墜された後、捕虜となって連行された広島で被爆死した米兵のおいが4日、柳井市伊陸の墜落現場を初めて訪れた。亡くなった伯父と同名の牧師ラルフ・ニールさん(58)=米ケンタッキー州。70年前の墜落を目撃した住民や、児童と交流し、平和への願いを通わせた。(井上龍太郎)

 狙撃手の伯父の乗ったB24爆撃機は1945年7月末、呉沖で被弾し伊陸に墜落した。パラシュートで脱出した伯父は、広島市中区の中国憲兵隊司令部に連行された。8月6日に米国の投下した原爆で同僚5人と被爆死した。機長の故トーマス・カートライトさん(ことし1月に90歳で死去)は東京に移送されていたため、被爆を免れた。

 「伯父はきょうだいの面倒をよく見る家族の柱だったと聞いて育った」とニールさん。父は兄を敬う気持ちから息子に伯父と同じ名を付けたという。

 伊陸の住民は戦後、カートライトさんと、機体部品の返還などで親交を育んできた。この日は、98年に墜落現場近くに建てた「平和の碑」前でニールさんを迎え、墜落や連行の様子など当時目の当たりにした記憶を伝えた。

 ニールさんは「伯父の古里に似た場所と知ることができた。悲劇をもたらす戦争をなくすためにも、平和を追求し続ける必要がある」と話した。

(2015年8月5日朝刊掲載)

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