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「にのしま」 平和の誓い 広島 小中生 慰霊祭で初合唱

 原爆投下直後に多くの負傷者が運ばれた広島市南区の似島で4日、慰霊祭があった。島内の全小中学生約100人が、島の戦争の記憶を刻む歌「にのしま」を慰霊祭で初めて合唱。平和の尊さを確認し合った。

 折り重なって死んだ 叫びをうずめ 白い雲が飛ぶ ああ似島―。

 参列した住民たち約90人を前に、似島小、似島中、似島学園小・中の児童生徒が歌声を青空に響かせた。似島中3年の豊田莉子さん(14)は「島の子どもは全員歌える曲。原爆で亡くなった人まで届けばいいなと思った」と話した。

 歌は1974年8月、似島であった「第1回原水爆禁止少年少女のつどい」に参加した広島県内の中学生が作詞。翌75年に曲が付けられた。島の自然をめでる前半の明るい歌詞から転調し、後半は犠牲者が埋葬された被爆後の歴史を歌う。学校の授業や催しで歌われてきたが、慰霊祭で披露される機会はなかった。被爆70年を記念し、島内全3校が合唱を企画した。

 島には推定1万人の負傷者が運ばれたとされる。似島連合町内会の堀口照幸会長(67)は「原爆の傷痕が残る島の歴史を忘れてはいけない。若い世代にも語り継ぎたい」と話した。(和多正憲)

(2015年8月5日朝刊掲載)

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