×

ニュース

反対派「運動は継続」 上関町長選擁立見送り 推進派「町考え合う一歩」 山口

 9月1日の告示まで1カ月を切った上関町長選(9月6日投開票)は4日、中国電力の上関原発建設計画に反対する住民組織全3団体が候補者擁立を見送る異例の事態を迎えた。準備工事の中断から4年を過ぎ、計画の凍結状態が長期化する中、原発財源に依存しない町政運営の模索が続く。反対派は「まちづくりを優先するため」と、反対運動とは別次元の判断であることを強調した。(井上龍太郎)

 3団体は「上関原発を建てさせない祝島島民の会」「上関の自然を守る会」「原発に反対する上関町民の会」。今月初めにかけ、擁立見送りを決めた。

 「原発反対の声を上げ続けなければならない」と、反対派は原発計画が浮上した1982年以降、9回あった町長選全てを選挙戦に持ち込んできた。ただいずれも推進派候補者が勝利。反対派候補者の得票率は下がり続けている。福島第1原発事故の直後だった2011年の前回選もダブルスコアで敗れた。

 島民の会の清水敏保代表(60)は「反対運動は別として継続する」と主張。町民の会の三家本誠共同代表(67)も「推進を容認する考えは一切ない」とした。

 2人は過疎高齢化の進む町への危機感を強調する。1日時点の町人口は、4年前の同時期と比べ419人減の3118人。高齢化率は5・45ポイント増えて53・82%に達した。

 一方、4選を目指す柏原重海町長(65)の支援を決めた推進派の上関町まちづくり連絡協議会。古泉直紀事務局長(57)は「良い町を目指す気持ちは同じ。対立ではなく将来を考え合う一歩に」と、選択肢の提示を見送ったことへの理解も示す。

 反対派は同じ日程で実施される町議補選(1人)には候補者を擁立する。推進派候補者と対決する構図が濃厚だ。

<上関原発計画浮上後の上関町長選結果>

         推進派  票数   反対派  票数   投票率(%)
1983年 4月 片山秀行 2871 向井丈一 2121 94.56
1987年 4月 片山秀行 2835 河本広正 2116 96.46
1991年 4月 片山秀行 2379 小柳 昭 2042 94.86
1995年 4月 片山秀行 2368 松永昌良 1792 95.79
1999年 4月 片山秀行 2206 河本広正 1645 94.62
2003年 4月 加納簾香 2001 山戸貞夫 1458 91.67
     10月 柏原重海 1988 山戸貞夫 1381 89.92
2007年 9月 柏原重海 1999 山戸 孝  990 88.08
2011年 9月 柏原重海 1868 山戸貞夫  905 87.55

(敬称略)

(2015年8月5日朝刊掲載)

年別アーカイブ