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核の愚かさ 映像で訴え 動物描き 理解しやすく 内藤さん、きょう広島市南区で披露

 広島市西区の映像作家内藤紀彦さん(68)が、核兵器使用の愚かさを伝える映像作品「動物たちの星」を完成させた。子どもたちに分かりやすく伝える狙いで、紙芝居を活用している。5日午後6時半から、南区民文化センターであるひろしまピースデーコンサートで初披露される。

 犬や熊、ウサギがそれぞれの国で暮らす星で、食料不足などを背景に熊と犬が戦争を始めてしまう―というオリジナルの物語。熊は原爆を犬の国に落として戦争に勝利。ただ放射能は星全体に広がり、他の動物や熊自身も生きられなくなる。約8分。

 シベリア抑留を経験した島根県邑南町の品川始さん(91)が作画を担当。水を求めて息絶える犬など、動物の表情を生々しく描いた。ナレーションは、フリーアナウンサーの丸子ようこさん(57)=南区=が抑揚をつけ、戦争の緊迫感を表現した。

 現在の西区庚午中で被爆した母親から黒い雨を浴びた話などを聞いて育った内藤さん。高校時代や仕事を始めてから知り合った被爆者のことなどを、ここ10年は自ら志願して修学旅行生に語ってきたが、若い世代に戦争や核兵器のことを分かりやすく伝える難しさを感じていたという。

 5日のコンサートは無料で、内藤さんの作品は冒頭に上映される予定。内藤さんは「ヒロシマの子には平和を守り、伝えていく役割を担ってほしい。その思いを作品に込めた」と話している。平和学習へ活用する学校や団体にDVDにして無料提供する。内藤さんTel082(272)0330。(菊本孟)

(2015年8月5日朝刊掲載)

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