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ヒロシマ 絵筆で継承 廿日市で「宮川啓五展」 悩み続け70年 刻まれた記憶

 被爆者で日本画家の宮川啓五さん(88)=広島市西区=の新作を含む39点を集めた平和美術展「宮川啓五展 ヒロシマの記憶」が、廿日市市下平良のはつかいち美術ギャラリーで開かれている。入場無料、30日まで。9日に宮川さんが被爆体験を語る関連行事がある。(桑原正敏)

 18歳の時、爆心地北約3キロの大芝町(現西区)で被爆した。今回の個展に合わせ、熱線に焼かれた少女が水たまりに口を付ける「泥水」など、記憶の奥にしまい込んでいた光景を3連作に刻んだ。「描いていいのか70年間悩んだ」と宮川さん。「少女たちのうなり声を残した。こんな戦争、絶対にあってはいけない」

 戦前から原爆投下、戦後復興という時の流れを一本の川の情景で表現した幅約7・3メートルの代表作「太田川 冬・春・夏・秋」も出展している。大竹市の主婦花岡紀子(かずこ)さん(67)は「戦争を知らない世代も増えた。作品はヒロシマの財産」と見入った。

 戦後70周年記念非核平和事業の一環で市と市文化スポーツ振興事業団が主催。9日の体験談は午後2時から。予約は不要。美術ギャラリーTel0829(20)0222=月曜休館。

(2015年8月5日朝刊掲載)

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