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山陰ねっと 20年ぶり体験文集 鳥取県被害者協 38人が寄稿

 鳥取県原爆被害者協議会(田中一朗会長、約190人)は被爆70年に合わせ、会員の体験文集「原爆と地獄」第4集を6日、発行する。1995年の第3集から20年ぶり。

 A4判、106ページ。第3集より16人多い38人が寄稿した。遺体を焼く炎に照らされていた広島の夜空や、救護活動などについて振り返っている。さらに21人も「被爆者の一口メモ」の部で反戦や反核への思いを寄せた。広島上空のきのこ雲や、66年に鳥取市に建てられた原爆慰霊碑など約30点の写真も収める。

 田中会長(86)は、広島市西区打越町にあった造幣局広島支局の仮工場への出勤途中、爆心から1・9キロの同区山手町で被爆。爆風に飛ばされて意識を失い、右半身にやけどを負った体験をつづった。「文集を通して被爆者の体験が忘れられないようにしたい」と願う。

 「会員の平均年齢は84歳。まとまった形で証言を残すのはこれが最後」。昨年9月の理事会で石川行弘事務局長(73)が第4集の編さんを呼び掛けた。

 500部発行。6日午前10時半から鳥取市のさざんか会館である県原爆死没者追悼・平和祈念式典の参列者たちに配り、県内の全19市町村にも贈る。(川崎崇史)

(2015年8月5日朝刊掲載)

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