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　太平洋戦争の末期、１９４５年８月６日に広島の市民と街が米国の原爆による攻撃を受けて７０年を迎えた。広島市中区の平和記念公園では午前８時から市原爆死没者慰霊式・平和祈念式（平和記念式典）が営まれる。非人道的な兵器による犠牲者を追悼。復興に生き、核兵器廃絶と戦争反対を訴え続けたヒロシマへの共感を広げ、行動を促す日となる。（岡田浩平）

　市民や安倍晋三首相に加え、市の被爆７０年事業で招かれた、広島から海外に移り住んだ被爆者やその遺族たち計１０人も参列。海外から過去最多の１００カ国と欧州連合（ＥＵ）の代表が来賓として臨む。ことしから暑さ対策で１万１千席のうち９５００席が白い大型テントで覆われる。

　開式後、この１年に亡くなったか、死亡が確認された広島の被爆者５３５９人の名前を書き加えた原爆死没者名簿を松井一実市長と遺族代表２人が原爆慰霊碑の石室に納める。名簿は２冊増えて１０９冊計２９万７６８４人分となる。代表者の献花に続き、原爆投下時刻の８時１５分に遺族代表の酒販業事務員仲川弘美さん（３８）＝中区、こども代表の段原小６年東川悠輝君（１２）＝南区＝の２人が突く「平和の鐘」の音に合わせ、全員で黙とうをささげる。

　松井市長は平和宣言で「広島をまどうてくれ」という広島弁の言葉を盛り込み、原爆に奪われた故郷や家族、心身を元通りにしてほしいという被爆者の悲痛な叫びを伝える。被爆者の心にある「人類愛」「寛容」を、世界のリーダーたちに求め、核兵器廃絶への一歩として相互不信や疑心暗鬼からの脱却を促す。

　市として、被爆の実態を次世代に伝え、核兵器禁止条約の交渉開始に向けて全力で取り組む決意を表明。オバマ米大統領の名を挙げてリーダーたちに被爆地を訪れるよう呼び掛け、禁止条約を含む法的枠組みの議論を求める。一方、参院で審議中の集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案には直接触れない。武力に依存しない幅広い安全保障の仕組み作りに取り組むよう各国に迫る。

　こども代表の、白島小６年桑原悠露君（１２）＝中区、矢野南小６年細川友花さん（１１）＝安芸区＝は「平和への誓い」を読み上げる。式典を締めくくる「ひろしま平和の歌」の合唱には、日本公演のため来日した国連合唱団が初めて加わる。

（２０１５年８月６日朝刊掲載）