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「最年少」の役割語る 胎内被爆者の会 広島で初シンポ

 原爆胎内被爆者全国連絡会が5日、広島市中区で初のシンポジウムを開いた。母親のおなかの中で被爆した会員6人が「最年少の被爆者」としての役割を語り合った。

 仮死状態で生まれたという村上由聲(ゆうしょう)さん(69)=広島市南区=は「胎児こそ被爆の影響が大きく、遺伝的な不安もある。命ある限り核の怖さを訴えたい」。愛媛県原爆被害者の会事務局長の松浦秀人さん(69)=松山市=は「記憶はなくとも、母から聞いた被爆体験を若い世代に伝えることは可能だ」と指摘した。

 香川県原爆被害者の会会長の好井敏彦さん(69)=坂出市=は、米国での証言活動の経験を踏まえ「海外では胎内被爆はほとんど知られていない。世界に存在を訴えよう」。浜住治郎さん(69)=東京都=は「直接の被爆者が高齢化する中、被爆2世、3世に体験を引き継ぐ橋渡しになりたい」と力を込めた。

 被爆70年に合わせて開催し、約30人が参加した。シンポに先立つ総会では、好井さんと二川一彦さん(69)=広島市東区=の2人を代表世話人に決めた。会場では、会員18人の手記をまとめた体験記集も販売した。(和多正憲)

(2015年8月6日朝刊掲載)

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