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70歳節目に決意の初参列 三重の西垂水さん 広島原爆の日

 広島市で原爆に遭い、被爆直後の長崎市で避難生活を送った西垂水(にしたるみ)千代美さん(70)=三重県桑名市=が6日、平和記念式典に初めて参列した。年齢と重なる戦後70年を機に、自身の体験に向き合おうと決め、8・6の日に広島を訪れた。

 投下時刻の午前8時15分。西垂水さんは静かに頭を垂れ、黙とうした。ヒロシマでの被爆、そして被爆地ナガサキでの生活…。苦しい中育ててくれた両親へ感謝し、平和を祈った。

 生後4カ月の時、南観音町(現西区)で被爆。その後、両親の故郷長崎市に避難したが、そこは原爆投下から間もない廃虚のまちだった。両親は被爆の影響とみられる体調不良に悩まされながらも自分を育て上げてくれた。西垂水さんは24歳ごろ三重県に移住した。

 「子や孫が心配する」との思いから、長年、周囲に被爆体験を語らず、長崎市の式典にも参加してこなかった。参列は「三重県原爆被災者の会」で知り合った加藤清江さん(72)の誘いがきっかけ。この日、隣り合って座った。西垂水さんは「来てよかった。平和を守るためにできることをやっていきたい」と話した。

(2015年8月7日朝刊掲載)

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