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野球の楽しさ 復興に勇気 野村元監督らスリランカで指導 カープとJICA

 野球には人を勇気づける力があると信じ、広島東洋カープと国際協力機構中国国際センター(JICA中国)は7月9~15日、内戦からの復興を目指すスリランカに視察団を派遣した。カープ元監督の野村謙二郎さん(48)が現地の若者に技術を教え、球団から託された用具も手渡した。一行4人は各地を巡り、これからの支援策を探った。

 現役時代と同じ、背番号7がグラウンドを激しく動き回った。「野球は楽しいもの」が口癖の野村さんは現地の球児たちを手取り足取り指導した。被爆地に誕生、街の復興とともに成長を遂げたカープ。内戦から立ち上がろうとする人々が希望を抱き、前進してほしいと考えた。野球教室は南部のキャンディで2回、ディヤガマで1回開催した。

 四半世紀に及んだ内戦の跡を各地で見掛けた。最後の激戦地といわれるムラティブを経てオルマドゥへ。非政府組織(NGO)の人たちが、推計約150万個が埋められたという地雷を除去していた。北端のジャフナでは、破壊された巨大な給水塔が市中に展示してある。悲惨な戦いを忘れないため保存している。

 かつての首都コロンボには、球児たちの慰霊碑も。試合の帰りに自爆テロに遭い、亡くなったという。

 視察を踏まえカープやJICAは、どんな支援が可能かを検討する。野村さんは「自分も平和のありがたさを実感した。見て感じたことを広島の人に伝え、可能な限り後押ししたい」と誓った。(貞末恭之、写真も)

(2015年8月7日朝刊掲載)

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