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2世ら「思い」つなぐ 福山や神石高原 若い世代が式典下支え 広島原爆の日

 原爆の犠牲者を慰霊する式典が6日、福山市であった。被爆者の高齢化が進む中、被爆2世や若者たちも参列し、核兵器廃絶に向けた取り組みを続けると誓った。神石高原町では、平和を願う集会が開かれた。(小林可奈、福田彩乃)

 慰霊式典は、福山市霞町の中央公園の原爆死没者慰霊碑前で、市原爆被害者友の会が開いた。被爆者や遺族、被爆2世たち約100人が参列。被爆2世の藤井悟会長(68)が「私たちは『過ちは繰り返しませんから』という被爆者の悲願達成に全力を尽くすことを誓う」とあいさつした。

 同市では、約60年にわたり活動した市原爆被害者の会が、役員の高齢化を理由に3月末で解散。活動を引き継ぐため、被爆2世を中心にした友の会が4月に発足した。

 被害者の会会長を務め、友の会発足にも尽力した被爆者の池尻博さん(90)は「70年前、被爆者が水を求めた声が今も耳に残っている。戦争は絶対にしちゃいけん。若い人たちに平和活動を受け継いでほしい」と願った。

 若い世代に核兵器廃絶などへの思いを継承しようと、式典の司会は福山平成大1年箱田麻実さん(19)が務めた。箱田さんは「戦争を繰り返さないため、被爆者の体験を語り継ぎたい」と力を込めた。

 神石高原町の三和公民館では、平和を願うイベントがあった。町民たち約180人が参加。地元の中学生が、同町が舞台の一つとなった井伏鱒二の小説「黒い雨」について説明したり、平和宣言を述べたりした。

 同町出身のタレント福本ヒデさんも駆け付け、祖父が広島市の原爆で亡くなった話を交えながら「平和な世界をつくるのは笑顔。差別をしない心を持って」などと訴えた。

(2015年8月7日朝刊掲載)

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