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原点の思い100ヵ国共有 広島原爆の日式典 「禁止条約」は意見割れる

 広島市中区の平和記念公園で6日にあった被爆70年の節目となる平和記念式典には、過去最多の100カ国の政府と欧州連合(EU)の代表が参列し、核兵器廃絶への訴えに触れた。ただ、平和宣言で松井一実市長が求めた核兵器禁止条約の交渉開始については、各国代表の意見は割れた。(金崎由美、標葉知美)

 核兵器保有国では、米国、ロシア、英国、フランスの代表が出席。核拡散防止条約(NPT)非加盟国もインド、パキスタン、イスラエルが駐日大使らを派遣した。

 原爆投下国の米国からは、2年連続となるキャロライン・ケネディ大使に加えローズ・ガテマラー国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)が初参列。原爆投下時刻、2人は目を閉じ黙とう。核兵器禁止条約の交渉開始を求める松井市長の平和宣言に聞き入った。

 松井市長の訴えに、英国のティム・ヒッチンズ大使は「廃絶の道筋について考えに違いはある」と述べ、禁止条約を支持しない同国の立場を代弁。日本と同様、米国の「核の傘」の下にいるオーストラリアのブルース・ミラー大使も「最終的には目指すが、大切なのはそこまでどう到達するかだ」と問題提起した。

 一方、ボスニア・ヘルツェゴビナのアネッサ・クンドゥロビッチ大使は「被爆証言を聞いた。ヒロシマとナガサキ自体が『なぜ禁止すべきか』という問いへの答えだと思った」。メキシコのカルロス・アルマーダ大使も「ヒロシマの痛みを共有したい。核兵器には徹底的に反対」と語った。

 参列者は被爆地の70年の歩みに思いをはせた。アフガニスタンのセイエド・ファテミ大使は「紛争で傷ついた国として、世界平和に貢献する緑と水の都市に感謝したい」と力を込めた。

(2015年8月7日朝刊掲載)

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