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被爆者から不満の声 首相あいさつで非核三原則触れず 広島原爆の日

 安倍晋三首相は、6日の広島市の平和記念式典でのあいさつで、国是の「非核三原則の堅持」に触れなかった。1994年以降、現職首相が毎年読み上げているが、盛り込まれなかったのは初。被爆者たちから疑問や不満の声が上がった。

 広島県被団協(坪井直理事長)の箕牧(みまき)智之副理事長は「政府が非核三原則を軽視しているように取れる」と残念がった。もう一つの県被団協(佐久間邦彦理事長)の大越和郎事務局長は「核武装論を唱える政治家もいる。非核三原則がほころびを見せている証左ではないか」と指摘した。

 現職首相の式典出席は、71年の佐藤栄作首相が初めて。80年代以降、首相の式典出席が定着し始めたが、歴代首相はほぼ毎回触れていた。安倍首相も第1次政権時の2007年と13、14年には言及している。

 安倍首相は式典で非核三原則に触れなかった一方、式典後に中区であった被爆者代表から要望を聞く会では「非核三原則を堅持しつつ、核兵器廃絶と恒久平和の実現に向けた努力をリードし続けていく」と述べた。

 祖父から被爆体験を聞いて育った不動産業矢野淳さん(40)=広島市西区=は「70年という節目の年の式典だからこそ触れるべきだったと思う」と首をかしげた。(城戸収、田中美千子、柳本真宏)

(2015年8月7日朝刊掲載)

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