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「遺志は継ぐから」3遺族が式典参列 被爆証言・故松島圭次郎さん 広島原爆の日

 英語で被爆体験を語り、昨年11月に85歳で亡くなった被爆者、松島圭次郎さんの遺族3人が遺影を抱き、広島市中区の平和記念公園であった市の平和記念式典に参列した。「大事な仕事をしましたね。遺志は継ぐから安心してね」。妻幸子さん(82)=佐伯区=は、長女の晶子さん(46)=大阪市東淀川区、孫の高校3年、弘和さん(17)=三重県伊賀市=と手を合わせた。

 松島さんは16歳の時、爆心地から2キロの千田町(現中区)で被爆。市立中の校長を退いた後、精力的に証言活動をした。市の被爆体験伝承者の養成にも協力し、関わった3人が今春デビューしている。

 原爆資料館(中区)に通い、伝承者の講話を聞いているという幸子さんは初めて式典に出席。「原爆被害の実態をもっと学んで、周囲に伝えたい」との思いを強くした。弘和さんも「僕と同年代で被爆した後、生き抜いた祖父はすごい。いつか、その体験を広められたら」と遺影を胸に前を向いた。3人は式典後、公園内の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館を訪れ、松島さんの遺影を収めた。(田中美千子)

(2015年8月7日朝刊掲載)

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