×

ニュース

原爆症認定を迅速化 首相表明 「黒い雨」相談強化

 安倍晋三首相は、6日の広島市主催の「被爆者代表から要望を聞く会」で、原爆症認定の審査期間を原則6カ月以内に迅速化したり、広島原爆の「黒い雨」体験者に対する相談事業を強化したりする方針を明らかにした。

 認定審査の迅速化に関し、首相は「被爆者の高齢化を踏まえ、一日も早く認定がなされるようにしたい」と強調した。2013年末の基準見直しに伴う申請数の増加などで認定審査が長期化するケースが出ているのを受けた措置。厚生労働省は、事務作業を見直して対応する考えだ。

 一方、基準見直し後も相次いでいる原爆症認定訴訟について、同席した塩崎恭久厚労相は「新しい審査方針と矛盾すると判断せざるを得ない案件は、上級審の判断を仰ぐ」と言及。訴訟の全面解決や現行制度の抜本改正を求める被爆者側と隔たりをみせた。

 また首相は、黒い雨の相談事業に関し、外出が困難なお年寄りたちのため戸別訪問をして相談を受けたり、相談会場までの交通費の助成制度を創設したりすると明言。自治体に委託している被爆2世健診で血液がん「多発性骨髄腫」の検査の追加や、被爆建物の保存支援にも取り組むとした。

 厚労省は、これらの関連経費を16年度予算の概算要求に盛り込む。(城戸収)

(2015年8月7日朝刊掲載)

年別アーカイブ