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折り鶴活用 来月に検討委 平和の思い どう昇華

 広島市は9月、国内外から届く大量の折り鶴の活用策を考える有識者の検討委員会を設置する。市に寄せられたアイデアを基に、折り鶴に託された思いをどう「昇華」(松井一実市長)させるのかを議論する。

 市は6、7月にアイデアを公募。国内外から203件が寄せられた。最も多かったのは再生紙にすることで約4割を占めた。続いて折り鶴の記念品に加工が約3割、年初のとんどなどで燃やすことが約2割だった。

 検討委は平和教育や古紙再生などの専門家で構成する。来年1月までに4回開き、寄せられたアイデアを下敷きに議論。同2月に報告書にまとめる。石田芳文・被爆体験継承担当課長は「市民参加型でコストをあまりかけないで、折り鶴に込められた思いを国内外に発信できる策を練りたい」と説明する。

 検討委の設置に先立ち市は二つの活用案の試験実施を決定。一つは8月6日の「とうろう流し」で灯籠に再生した。残る一つは、27日に中区の平和記念公園で高さ約9メートルの折り鶴のモザイクアートをつくる。いずれも検討委の判断材料にする。

 平和記念公園の原爆の子の像には毎年、約10トンの折り鶴が届く。秋葉忠利前市長は長期保存施設を構想。2002年度分から計93トンを保管する。だが、4月の市長選で長期保存の否定を公約に掲げた松井市長が就任。活用策の検討を始めた。(金崎由美)

(2011年8月24日朝刊掲載)

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