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生まれた私。平和願って70年 原爆詩「生ましめんかな」 地下室の産声 小嶋さん、人生振り返る 広島

 栗原貞子さんの原爆詩「生ましめんかな」のモデルになった広島市南区の飲食業小嶋和子さん(70)が中区で6日にあった平和の集いに参加した。原爆投下2日後の広島で産声を上げ、復興の歩みに重なる人生を振り返り、「いま、生まれた子どもがこの先の70年も平和で過ごしてほしい」と願った。

 約70人を前に、負傷者がひしめく地下室で自らを取り上げてくれた助産師への感謝や、被爆死した姉への思いなどを語った。司会者から「元気でいてくれるだけでうれしい」との言葉を掛けられると、「私の方こそ多くの人の支えで70年生きてこられた」と応じた。

 原爆の惨禍の記憶はなく、昔は原爆や平和について話すのに抵抗があったという。2005年に栗原さんが亡くなり、「惨状の中で生き抜いた子として伝えられることがあるのでは」と考えるようになった。

 「70年前の犠牲者の代わりに生きているつもり。私を通じて若い人が平和への思いを深めてくれたら」(菊本孟)

(2015年8月8日セレクト掲載)

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