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[戦後70年 県北から] 惨状の記録 次代に継承 22日庄原市総領で「集い」 住民から資料収集

 庄原市総領町の総領自治振興区が、住民から戦争にまつわる資料を募り、展示する準備を進めている。事務局長で被爆2世の矢吹正直さん(60)が中心となり、戦後70年の節目に、戦争の惨状を子どもたちに伝えようと企画。22日に同町の総領自治振興センターで開く「戦後・原爆70年の集い」で披露する。(山本堅太郎)

 きっかけは、7月に同センターであった戦争をテーマにしたパネル展に来場した住民が、戦死した家族の遺品を同自治振興区に持参したことだった。矢吹さんは、父正治さん(2000年に86歳で死去)の被爆体験記などと合わせて見てもらおうと考えた。

 正治さんは当時、中国軍管区司令部(現広島市中区)にいた。あの日、兵舎で被爆。かろうじて生き残り、終戦後に領家村(現庄原市総領町)に戻った。被爆体験の語り部をし、総領町原爆被害者の会の会長も務めた。

 矢吹さんの自宅には、正治さんが被爆者健康手帳を取得するため、1954年に取った診療証明書や、被害者の会の会報用に集めた体験記などが残る。矢吹さんも正治さんから戦時中の話を何度も聞いた。

 しかし、矢吹さんはその話を子どもや周囲に語ったことはなかった。「被爆2世として何かしなければと思いながらも、何をすればいいか分からなかった」と振り返る。

 今回の集いを機に、今後は父の体験談を積極的に披露するつもりだ。「私が聞いた戦争の歴史を、子どもたちに正しく伝えていきたい」と話す。

 集いは22日午前10時から。資料展示に加え、被爆体験記の朗読、参加者同士での戦争体験の語り合いなどを予定している。

(2015年8月10日朝刊掲載)

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