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被爆者の衣服写真 寄贈 「平和に貢献できれば」 仏のアギレラさん、資料館に

 フランス・パリ市郊外の写真家ミッシェル・アギレラさん(54)が10日、広島市中区の原爆資料館で、同館が収蔵する被爆者の衣服を撮影したプリント30枚を寄贈した。「原爆の悲惨さを伝えるのに役立てばうれしい」と託した。

 焼け焦げたブラウス、ぼろぼろの学生服など、いずれもカラーでA2判。2007年9月、ほぼ1カ月をかけて撮影した。フランスでは09年、写真集「広島の衣服」として出版。国内13カ所で巡回展示も手掛け、地元の美術館も収蔵しているという。この日は写真集4冊を添え、志賀賢治館長に手渡した。

 アギレラさんは被爆60年の05年8月、広島市を初めて訪問。資料館を見学し、「人びとの苦しみを伝える衣服に衝撃を受けた」と言う。今夏、同作の個展を市内で初めて開いたのを機に寄贈を申し出た。

 自国は核兵器も原発も抱える。アギレラさんは「対岸の出来事と思ってはいけないと考えている。創作を通じ、平和に貢献できれば」と話した。(田中美千子)

(2015年8月11日朝刊掲載)

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