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米印の核協力容認 核廃絶へ説得力欠く 広島の被爆者ら憤り

■記者 長田浩昌、森田裕美

 米印原子力協力協定に基づく米国によるインドへの核関連技術提供について、日本政府が容認する方針を固めたことに対し、広島の被爆者や平和団体から18日、憤りや核拡散防止条約(NPT)体制の揺らぎを懸念する声が上がった。

 広島県被団協の坪井直理事長は、インドがNPT未加盟である点を挙げ、「軍事利用の恐れがあるにもかかわらず、被爆国が容認するとは許し難い。日本の核軍縮の訴えも説得力を欠く」と語気を強める。

 もう一つの県被団協の金子一士理事長も「非核三原則を国是としながら米国の言いなり。核兵器の惨状を知る立場として、米国におかしいと意見するのが当然。怒りを通り越し、情けない」と声を落とした。

 県原水禁の片山春子代表委員は「被爆者の声も平和団体の声も無視された。日本が先頭に立って反対するべき問題」と声を震わせる。県原水協の松本真事務局長は「NPTを機能停止させるに等しい行為」と強調した。

 米印原子力協力協定への反対を政府に求めてきた「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」の森滝春子共同代表も「核武装がお目こぼしになる協定を許せば、NPT体制は骨抜き」と指摘。「政府は対米関係だけ考えているようだが、パキスタンとの対立を深めることになりかねない」と心配した。

(2008年8月19日朝刊掲載)

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