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連載・特集

生き抜いたヒロシマ 写真展「復興の記憶」 <1> 「LIVING HIROSHIMA」 占領期 全編英文で刊行

 ヒロシマで何が起こったか。その後、人々はどう生き抜いたか。いつの日か、自ら語れる被爆者が一人もいなくなる日がやってくる。

 広島市西区の泉美術館で、記録写真をテーマごとに編集して展示する「復興の記憶」はことしで4回目。被爆70年記念写真展「ヒロシマを見つめた写真家たち」(中国新聞社など主催)が9月6日まで開かれている。美術館とともに展覧会を企画した、NPO法人広島写真保存活用の会の松浦康高代表に作品を紹介してもらい、いまを生きる私たちへの伝言に耳を澄ませたい。

 米軍に占領されていた1949年5月に刊行された「LIVING HIROSHIMA」。全編英文の128ページで、サブタイトルに「瀬戸内海を含む378枚の写真による原爆ヒロシマの紹介」とある。

 撮影者の一人、木村伊兵衛は、当時東京にあった文化社の写真部長。木村はそれより前に、米軍から被爆の惨状を撮った写真の原版(ネガ)の提出を求められ、「プリントは何枚でもするから、フィルムは渡せない」と原版を守ったエピソードを持つ。

 今回、本の中から木村が撮影したカットを展示したいと考えた。残念ながら原版は見つからなかったが、日本写真家協会の田沼武能前会長がプリントを1枚見つけてくださった。

 2人の男の子がしっかり遠くを見据えている。本のキャプションには「相生橋の曲がった橋縁に立つ親のない兄弟」とある。力強く、たくましい。展覧会のポスターに使った。

(2015年8月11日セレクト掲載)

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