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回天の悲劇に平和誓う 上関で碑除幕 住民ら、犠牲者に祈り

 上関町白井田地区で28日にあった特攻兵器「回天」搭乗員の追悼記念碑の除幕式。建立に尽力した地域住民や搭乗員和田稔少尉の遺族、町関係者ら参列した約120人は、海の中に命を散らした若者に思いをはせ、平和の尊さを再認識した。

 海を望む公園に建てられた記念碑。建立場所を提供した上関町の柏原重海町長は「平和の大切さをかみしめて過ごすきっかけにしたい」と呼び掛けた。記念碑の監修を引き受けた同地区出身の広島大名誉教授で画家の難波平人さん(69)は「戦争の歴史を知らせ、平和な時代が続くことを祈る地にしてほしい」と強調した。

 式典会場には和田少尉のドキュメンタリー番組を制作した元山口放送ディレクター磯野恭子さん(76)=岩国市山手町=の姿もあった。「尊い命の犠牲が国の礎となったことを忘れてはならない。戦争の無残さ、死者たちの伝言を受け継いで」と話した。

 碑建立に協力し、地区住民への説明に当たった辻正義区長(68)は「完成を機に、戦争を後世に伝えていきたい」。記念碑を加工した石材店経営柏田真一さん(36)は「私は戦争を知らない世代だが、遺族たちの思いにじんときた。若い世代が過去のことを勉強するきっかけになれば」と受け止めていた。(久保田剛、堀晋也)

(2011年8月29日朝刊掲載)

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