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被爆・移住 苦難切々と 在ブラジルの盆子原さん 祈念館で証言ビデオ収録 広島市中区

 広島市で被爆後、ブラジルへ移住した盆子原国彦さん(75)=サンパウロ市=が11日、中区の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館で証言ビデオ収録に応じ、平和への思いを語った。

 盆子原さんは5歳の時、舟入川口町(現中区)にあった父の勤め先の事務所で被爆。母と姉を亡くした。ビデオカメラを前に声を詰まらせながら「川の両岸が遺体で埋まっていた」と爆心地付近の惨状を振り返り、「平和に生きるために何をすればいいか、一人一人が考えて」と訴えた。

 ブラジル被爆者平和協会の副会長として、在外被爆者の援護を拡充するための訴えも続けてきた。「日本政府に要望を重ねたが、当時は返事一つもらえなかった」。現地では被爆者差別が根強かったことも明かした。

 同館は1時間余りの証言を約20分に編集し、館内で来春にも公開する。盆子原さんは今回、6日の平和記念式典に出席するために帰郷。24日まで日本に滞在する。(田中美千子)

(2015年8月12日朝刊掲載)

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