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平和を考える満州の資料展 鳥取県南部町 ポスターや絵はがき260点

 鳥取県南部町出身の孔版画家板祐生(いた・ゆうせい)(1889~1956年)が収集した満州(現中国東北部)で流通したポスターや絵はがきなど約260点を集めた「戦後七〇年―平和を考える 満州国資料展」が、同町の祐生出会いの館で開かれている。9月14日まで。

 郷土玩具やポスターのコレクターとしても知られた板が、知人を通じて集めた資料を展示した。1932年建国の満州国の政治宣伝に用いられたポスターは「平和」「共存共栄」の文字を多用。満州族に加え、漢族、ロシア人などの多民族国家をうたった満州国のイメージアップを図った歴史がうかがえる。

 日本国内や英語圏で発行したグラフ誌のほか、大連であった満州大博覧会(33年)の見どころや風光明媚(めいび)な名所を紹介する観光パンフレットもある。日本軍が関与するかいらい国家の印象を弱め、「王道楽土」の印象を植え付けるプロパガンダの役割を果たした資料から、日本人の満州イメージが形成される過程が分かる。

 同館は約1800点の満州関連資料を所蔵している。火曜休館。300円(高校、大学生200円、中学生以下無料)。同館Tel0859(66)4755。(石川昌義)

(2015年8月13日朝刊掲載)

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