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社説・コラム

『ひと・とき』 映画監督・坂田雅子さん 反核 声を上げ続ける

 世界に広がる放射能汚染を取材し、核時代の行方を見詰めた新作「わたしの、終わらない旅」が公開中だ。フランスの核燃料再処理工場の周辺や、冷戦下の核実験が残した汚染に苦しむマーシャル諸島やカザフスタンを訪ね、人々の肉声を伝える。

 「福島第1原発の事故も経て、まだ教訓が足りないのか」。出会いを重ねた核被害者の苦しみを胸に、日本の原発再稼働への疑問を語る。

 製作のきっかけは、亡き母静子さんの著作を福島の事故後に読み返したこと。「母は1977年から、手製のミニコミ紙で原発の危険性を訴えていた。それをまとめた冊子」。母の活動を半信半疑で見ていた自分を問いただすように、取材の旅に出た。

 ミニコミ紙の題名は「聞いてください」だった。「私も声を上げ続ける。母がしてきたように」。映画は広島市西区の横川シネマで21日まで上映している。(道面雅量)

(2015年8月13日朝刊掲載)

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