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地下遺構で学ぶ原爆 広経大が集中講義 学生70人「あの日」聞く

 被爆遺構などを巡り原爆や戦争の実態に触れる広島経済大(広島市安佐南区)の集中講義「広島を学ぶ」が3日、市内であった。県内外の10大学から参加した約70人が、講師を務めた被爆者たちの話を聞きながら平和の尊さを実感した。

 爆心地から約700メートルの中区基町に残る中国軍管区司令部の地下通信室跡。参加者は被爆時の姿をとどめる半地下の室内に入り、ここから広島壊滅の第一報を発した岡ヨシエさん(80)=中区=の証言に耳を傾けた。

 比治山高等女学校3年だった岡さんは原爆投下当時、警戒警報などの通信伝達業務に動員されていた。被爆直後に廃虚となった市街地を見て、電話で福山の部隊に「広島が全滅しています」と伝えた様子を生々しく語った。同級生たちの最期も振り返り「平和は多くの犠牲のもとに生まれた」と訴えた。

 学生たちは岡さんに当時の様子を質問するなどした。立命館大3年の野間るりさん(23)は「多くの死がもし自分の家族だったらと思うとつらい。貴重な被爆体験を継承する方法を考えたい」と話していた。ほかに、原爆ドーム(中区)や放射線の影響を学ぶコーナーを設ける広島大医学資料館(南区)も訪ねた。

 講義は2日から3日間の日程。4日は江田島市の旧海軍兵学校などを見学する。 (野田華奈子)

(2011年9月4日朝刊掲載)

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