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二葉あき子、平和への思い 広島で21日、生誕100年演奏会 弟子や若手がヒット曲披露

 今年生誕100年を迎えた歌手二葉あき子(1915~2011年)をたたえるコンサート「恒久平和の道―蘇(よみがえ)る愛」が、21日午後6時から広島市中区の上野学園ホールである。自らは原爆犠牲者への鎮魂歌として歌った代表曲「フランチェスカの鐘」などを、弟子や若手歌手らが披露。孫で作曲家の加藤英紀の語りも交え、平和を願いながら90歳近くまで歌い続けた軌跡をたどる。(客員編集委員・冨沢佐一)

 二葉は、現在の広島市東区二葉の里で生まれた。1936年にデビューし、第2次世界大戦中は兵士の訪問を続けた。戦後「夜のプラットホーム」「水色のワルツ」「別れても」などが立て続けに大ヒット。渡辺はま子らと並ぶ昭和の代表的な歌手となった。収録した曲は600曲に及ぶ。NHK紅白歌合戦には第1回から10回連続で出演。2011年に96歳で死去した。

 48年に発表され同名の映画も製作された「フランチェスカの鐘」には、特別な思いがこもる。45年8月6日、三次市の父の実家へ向かうため広島駅から乗った芸備線の汽車が、現広島市東区のトンネルを通過中に原爆がさく裂。わずかの差で助かった。歌詞に原爆や広島の語はないが、生かされた自分に与えられた掛け替えのない歌だと考え、犠牲者への鎮魂歌として歌い続けたという。

 コンサートでは、これらヒット曲を弟子のシャンソン歌手小河内定や、二葉と同じ日本コロムビア所属で何度も共演した南一誠、広島で活躍する若手アマチュア歌手らが歌う。加藤はインタビューで思い出を語り、「フランチェスカの鐘」でピアノ伴奏をする。

 コンサートを企画したのは生前の二葉と親しく、デビュー50周年記念コンサートなどを手掛けたプロデューサー松本雅行(71)=広島市中区。11年の東日本大震災を機に、「音楽を通じて幸せを願う」ことをテーマに始めた「音楽まつり」の第5回として実施する。

 「二葉先生は戦時中、日本の母として兵士を訪ねて励まし、戦後は平和と幸福を祈りながら歌い続けた。被爆70年のことし、彼女を顕彰するとともに、若い人々にも知ってほしいとの願いを込めた」と松本。3500円。エディオン本店と上野学園ホールで販売。松本さんTel090(7374)7262。

(2015年8月15日朝刊掲載)

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