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上関原発問題 町づくり協議会設立へ 町と議会 交付金なしも議論

 山口県上関町は5日、福島第1原発事故を受けて町内への原発建設計画の先行きが不透明な現状を踏まえ、原発がない場合とある場合のそれぞれを想定した町づくりについて考える協議会を、町議会と発足させる方針を明らかにした。(久保田剛)

 全町議12人と町幹部、コンサルタント会社の社員で構成する予定。町は5日開会した町議会定例会に、協議運営を委託するコンサルタント会社への委託料130万円を盛り込んだ本年度一般会計補正予算案を提案した。議案説明で「原発計画に対する推進、反対という立場、考え方を取り払い、今後の振興策を協議する場を設ける」とした。

 原発建設に伴う国の交付金が来年度以降は得られない可能性も考慮し、将来の施策などを自由に話し合う。初会合は25日投開票の町長選の後になる。

 柏原重海町長は6月の町議会定例会で「原子力財源なくして町民の生活支援を行うことは困難」として計画推進の立場を維持した上で、「国の考え方によっては原発計画は厳しくなる。工事が中断しているこの期間、未来に向けてさまざまなオプションを用意しておく必要がある」と答弁。協議の場を置く考えを示していた。

 反対派の清水敏保町議は「必要な措置。厳しい議論になると思うが率直な意見交換をしたい」と評価。推進派の海下竜一郎町議も「これまではなかった場だ。双方から意見が出る有意義な会議になってほしい」と話した。


原発新設困難発言 「政府方針ではない」

 野田佳彦首相が原発新設を「現実的に困難」と述べたことについて、山口県は5日、「正式な政府方針ではない」との認識を示した。同県上関町への原発建設計画に関連し、県議会地域商工委員会で答えた。

 「極めて重い発言で真意をどうみているか」との質問に、末永睦商政課長は「国において原子力政策をどうするか検討中と理解している。首相は率直な思いを述べたもので、正式な政府方針とは認識していない」とした。

 また、森敏明商工労働部長は「国に発言の真意を確認する」とした上で「歴代の首相で責任を持った発言と受け止めにくいケースもあった。国の動向をみながらタイミングをみて確認したい」と述べた。確認の時期は明言しなかった。

 野田首相の発言をめぐっては、上関町の柏原重海町長も5日の町議会定例会の後、報道陣に「国から正式な連絡がないのでコメントしかねる。国がこの問題についてどういう方針を出すのか見守っていきたい。現段階で国への照会などは考えていない」と話した。(金刺大五、久保田剛)

(2011年9月6日朝刊掲載)

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