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お点前 復興思いはせ 広島の平和公園

 戦後と被爆70年に合わせ、平和を願う茶会が15日早朝、広島市中区の平和記念公園で営まれた。光の柱が浮かび上がる特設の茶室で、上田宗箇流の上田宗冏(そうけい)家元(70)がお点前を披露。招かれた松井一実市長(62)たちが焦土からの復興に思いをはせ、平和へ思いを新たにした。

 原爆ドーム、原爆慰霊碑を結ぶ南北の軸線上にあたる原爆資料館本館北側に4・7メートル四方の舞台を設けた。四隅を垂直の照明で囲む中、午前4時に開始。松井市長、建築家の隈研吾氏(60)、マツダの前田育男執行役員デザイン本部長(56)の3人が家元から薄茶やようかんのもてなしを受けた。「広島の復興は伝統文化の厚みがあってこそ進んだ」などと約2時間、語り合った。一般参加者たち約200人も舞台そばの席で、茶や幻想的な空間を楽しんだ。

 広島市立大や市でつくる実行委員会の主催。今の公園内に住んでいた祖父母を原爆で亡くした宗冏さんは「伝統文化が根付く平和な世を次世代にも伝えたい」と話した。(樋口浩二)

(2015年8月16日朝刊掲載)

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