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原発建設 経産相「上関は困難」 官房長官 島根 既設と認識

 鉢呂吉雄経済産業相は6日、中国電力が山口県上関町で計画する上関原子力発電所について、本体工事に着手するのは難しいとの認識を表明した。一方で、中電がほぼ建設を終えている島根原発3号機(松江市)に関し藤村修官房長官は、野田佳彦首相が困難と明言した「新規建設」には当たらないとの考えを示した。(荒木紀貴、山本洋子)

 鉢呂氏は記者会見で上関原発に関し「(原発を)減らすという方向はほぼ世論の一致しているところ。計画段階のものを新設するという形で行うのは困難な中に入ってくるのではないか」と述べた。

 島根原発3号機については「なかなか議論のあるところだ」と説明。経産相の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の答申などを踏まえて判断したいとの意向を示した。

 原発新設をめぐっては、野田首相が2日に「新規建設予定は14基あるが、新たにつくるのは現実的に困難」と発言。国がまとめた2010年度の電力供給計画には、上関原発と島根原発3号機を含めた14基(うち福島第1原発7、8号機は東京電力が中止を決定)の建設を明記しており、地元では波紋が広がっていた。

 野田首相が建設困難と述べた「新規建設」の定義について、藤村官房長官は6日の記者会見で「今から土地を手当てし、新たに建設する意味だ」と説明。工事が終盤の島根原発3号機は、新規建設に当たらないとの認識を示した。経産省によると14基のうち、島根原発3号機など3基が着工済みという。

 上関原発は2009年に用地の埋め立て工事に着手。原子炉設置許可も国に申請したが、抗議行動や福島第1原発事故後の中断で、埋め立て工事はほとんど進んでいない。島根原発3号機は2005年に着工。2012年3月の営業運転開始に向け工事の進捗(しんちょく)率は90%を超えたが、福島の事故に伴う追加の安全対策工事などで「工程は未定」という。

(2011年9月7日朝刊掲載)

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