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猿猴橋「変身」の春心待ち 復元工事始まる 広島市南区

 広島市南区の猿猴橋で、「広島一の橋」とたたえられた華麗な姿に復元する工事が18日、始まった。戦時中の金属供出でなくなった青銅製のワシの像や、サルをデザインした欄干を新たに製作して取り付ける。市の被爆70年事業の一環で、来年3月末に完成する。(和多正憲)

 猿猴川に架かる長さ62メートル、幅8メートルの橋の特徴的な装飾を戦前の写真を基に再現する。両端にある計4本の花こう岩の親柱の上に同じ石で台座を設け、羽ばたくワシの像を載せる。高さは今の約2倍の5・28メートルになる。両側の欄干に、2匹のサルがモモを持つ透かし彫りをあしらったパネル(縦80センチ、横246センチ)を20枚ずつはめ込む。

 復元事業費は約2億1千万円。この日、市の委託業者が重機を使い、金属供出後に取り付けた石造りの欄干の撤去を始めた。

 橋は1926年の建築。往時の姿をよみがえらせようと、地元住民が2008年に「猿猴橋復元の会」をつくってPR活動をしてきた。機運の盛り上がりを受け、市が復元を決めた。復元の会の大橋啓一会長(68)は「まちづくりに生かし、観光客も呼び込みたい」と期待する。

(2015年8月19日朝刊掲載)

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