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2011上関町長選 一騎打ち 公算強まる

 中国電力が原発建設を計画する山口県上関町の町長選(20日告示、25日投開票)は反対派の住民団体代表、山戸貞夫氏(61)が立候補を表明し、3期目を目指す現職の柏原重海氏(62)との、2人の戦いとなる公算が強まった。野田佳彦首相の発言を受けて計画の先行きに不透明感が増す中、前哨戦は本格化する。計画浮上から9度目となる選択に、町民はさまざまな思いを交錯させる。 (久保田剛、堀晋也)

 野田首相は2日の就任記者会見で原発新設について「現実的に困難」と発言。福島第1原発事故後、中断した上関原発の準備工事に再開の動きはない。

 柏原氏を支援する推進派の篠川源次町議(73)は「正式な国の方針ではないので大丈夫とは思うが影響は避けられない」とした上で「基幹産業がなく、少子高齢化が進む町の維持に原発に代わるものはない」と強調する。

 1983年4月から町長を5期20年務めた片山秀行さん(80)も「原発に想定外はあってはならないが、町を発展させるための建設だ。町民が信頼できる完璧なものをつくってほしい」とする。

 一方、環境保護団体「長島の自然を守る会」の高島美登里代表(59)は、山戸氏が立候補表明した7日の祝島での会見に同席。「原発に頼らない町づくりの出発の時だ。原発関連の交付金に頼り、足元の魅力を見過ごしてきた地域振興策からの脱却を」と求めた。

 反対派の清水敏保町議(56)も「原発のない町づくり」に向けた議論の高まりを期待する。「賛成派と反対派が率直に意見を言えるようになれば」

 原発をめぐる情勢を踏まえ、「単に推進、反対でなく、本当に未来を描ける人を選ばなければ」との声も聞かれる。

 8日午後、町選管のPR用の懸垂幕が壁に掲げられた中央公民館前。「だれが立候補するか固まって、やっと選挙という感じ。全国からも注目されている。しっかり選択したい」。通りがかった主婦(71)は、投開票日が記された幕を見上げた。

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