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戦時の手紙 父の愛あふれ 「寒いので弱っている事では」 福山の藤井さん企画展に提供

 戦時中、徴用船の乗組員がベトナム沖で命を落とす前に、寄港地から家族に送った軍事郵便が、福山市人権平和資料館(丸之内1丁目)の企画展で展示されている。同市野上町の藤井弘一郎さん(77)が、父から家族に届き、戦後も保管していた手紙やはがき約80枚を提供した。企画展は30日まで。

 藤井さんによると、父の四郎さんは大阪の海運会社に勤務。乗っていた船が軍用船として徴用され、1944年4月にベトナム沖で攻撃を受けて沈没した。四郎さんは35歳で亡くなったという。

 手紙やはがきは、呉や長崎県の佐世保などの寄港地から、福山の家族に宛てて出していた。「寒いので弱っている事ではないか」「幼稚園はどうか」などと家族を心配している。宛先を書かれた面には「軍事郵便」の印がある。出された時期ははっきりしない。

 藤井さんは「残された家族の悲しみは大きく、生活は大変になる。戦争は繰り返してはいけない」と力を込める。午前9時半~午後4時半。一般100円、高校生以下無料。月曜休館。(小林可奈)

(2015年8月22日朝刊掲載)

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